面白い映画がアホほどある時代に生まれて
概要
月3ペースで映画館に足を運んでいると、もっともっと新作映画を観たくなる。だが現実は厳しい。
目次
「映画を観る」という文化
大学のサークルで映画好きの人たちに出会うまで、私の中に「映画を観る」という文化はなかった。
私が「見る」映画とは専ら宮崎駿で、高畑勲で、ディズニーで、それも、父の買ったレーザーディスクで見るものだった。そこには「映画」という実感はなかった。父によって「良質である」と選別されたコンテンツだけをテレビの画面で見ていた。
夫は「映画を観る」文化を持っている人だ。現在、我が家ではHulu、Amazonプライム、バンダイチャンネルなど複数の有料配信サービスで良質な映画を見られるようになっているし、各々観たい映画があれば映画館へ足を運ぶ。
「映画を観る」という習慣は、それが他人のすすめであれ何であれ、自分で見るものを選ぶところから始まるものだと思っている。
他作品の予告映像について
映画館で映画を観ようとすると、実際には、最初の10〜15分は他作品の予告映像が流れる。
これについては賛否両論あるが、私は肯定的というか、この10分がとても楽しい。これは観たい映画を自分の中にストックする機会だからだ。この前「SAO」を観に行って、予告で「見たい」と思ったのは「ひるね姫」「ゴースト・イン・ザ・シェル」「アサシンクリード」「三月のライオン」だった。
映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』本予告【HD】2017年3月18日公開
映画『アサシン クリード』マンチェスター・ユナイテッドコラボ予告
1ヶ月に観る映画・諦めた映画
私と夫が実際に映画館に足を運んで観た映画は、先月の間だけで以下の3本なわけだが、
- 「虐殺器官」
- 「LUPIN THE IIIRD 血煙の五ヱ門」
- 「ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」
この3本というのは、少なくとも以下の6本を諦めた上で観た3本だ。
- 「愚行録」
- 「たかが世界の終わり」
- 「マリアンヌ」
- 「相棒-劇場版IV-」
- 「スノーデン」
- 「沈黙 -サイレンス-」
たとえ夫の分のチケット代を私が負担していなかったとしても、レディースデーを使ったとしても、私は観たい映画をすべて観ることができないのだ。
映画にも「定額プラン」が欲しい
映画を観ることが習慣化している人間は、予告映像に触れる機会が多いため、より劇場に足を運ぼうとする。しかし、1回1800円というチケット代は決して安くはない。したがって、話題作から消費されることになり、潜在的に見込まれる観客動員数を損失し……
面倒臭いので平たくいうと、月額7780円(税込)で映画を観まくれるプランが欲しい。これは1800円×4本+消費税の端数切り上げから出た数字だ。もしくは月額5800円(税込)で特定タイトル以外の映画を観まくれるプラン。これは3本+消費税の端数切り捨て。
もったいないんだよな!!!1800円の壁に阻まれて切り捨てられる映画が存在することがもったいないんだよな!!!観て、感想を言う人がいればもっと観る人が増えたかもしれない、そういう時代に、1800円の壁の向こうにあるはずだった地域タイアップとか円盤とか続編とか配信とか、そういうのに繋がらない作品があるかもしれないのがもったいないんだよな!!!
何より「YouTubeに金払って見ればいいや」になるのがまたもったいないんだよな!!!上映設備がどんどん立派になっていく一方で、ネット配信だけで満足する層がどんどん増えていく。先に私の幼少期の映画体験を示した通り、親の映画鑑賞スタンスがそのまま子供に引き継がれるので、この先映画館暗黒期が来るかもしれない。
ああ、いや、正直に言います、お金ないけど感想ならいくらでも書くので映画を安く観させてください!!!
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2015/07/17
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (2件) を見る
美女と野獣 ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2015/03/18
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
- 購入: 5人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門 限定版 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2017/05/26
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (1件) を見る
【Amazon.co.jp限定】LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門 限定版 (購入特典:小池 健監督描き下ろしイラスト使用B2布ポスター」付) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2017/05/26
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03/01
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
劇場版「ソードアート・オンライン」の感想 #劇場版SAO
概要
昨日、劇場版「ソードアート・オンライン〜オーディナル・スケール〜」(以下「劇場版SAO」)を観たので、以下の観点から感想を述べる。
- VR/AR/MR技術的観点
- 映像作品的観点
- ストーリー的観点
各項について、見出しには主観による5段階での「ネタバレ度」を表記する。
本編とは関係ないが、公式サイトの予告編動画→パララックス的演出というスクロールアニメーションがちょっと楽しい。
【Amazon.co.jp限定】劇場版「ソードアート・オンライン-オーディナル・スケール- 」B2布ポスター付通常前売券
- 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
- 発売日: 2017/02/03
- メディア: DVD
- この商品を含むブログを見る
目次
用語
- AR:Augmented Realityの略。主に「拡張現実」と訳される。
- VR:Virtual Realityの略。主に「仮想現実」と訳される。
- ウェアラブルデバイス:あるいは、「ウェアラブルコンピュータ」。ユーザーの身体に装着した状態で使用されるデバイス。親しみやすい例をひとつ挙げるなら「Pokémon GO Plus」。
- MMORPG:Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略。主に「大規模参加型オンラインRPG」と訳されることが多いか。例を挙げるなら「ウルティマオンライン」「ファンタシースターオンライン」「ファイナルファンタジーXIV」「ドラゴンクエストX」など。
Pokémon GO Plus (ポケモン GO Plus)
- 出版社/メーカー: 任天堂
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: Video Game
- この商品を含むブログ (7件) を見る
ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ(ver.1+ver.2+ver.3)[WIndows][ダウンロード]
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2015/12/03
- メディア: Software Download
- この商品を含むブログ (3件) を見る
VR/AR/MR技術的観点
「ARが普及する」ということはどういうことか(ネタバレ度★☆☆☆☆)
今回は「TVアニメ版SAOのアインクラッド編を飛び飛びで見た」「アスナのおっぱいがとうといことは知っている」というふたりで観に行ったのだが、これには「VR/AR/MRが普及した世界」のイメージを知る「導入編」となる作品かどうかということを知りたかった、というものがある。
ちなみに、ふたりのあいだでは他の候補として、「電脳コイル」と「PSYCHO-PASS」が挙がっていた。結果からいうと、「VR/ARの概念がある程度わかった上で楽しむ作品」ということで認識は(ほぼ)一致した。
劇場版SAOによって描かれる「ARが普及した世界」とは、次の予告映像の冒頭15秒にほとんど集約されているように感じる。
Sword Art Online Ordinal Scale Movie Trailer 4「劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール 」本予告 2017年2月18日公開
この15秒間の間で最初に注目すべきは、「オーグマー」なるウェアラブルデバイスのサイズとデザインである。ARが社会に普及するには、現在重厚なヘッドギアであるウェアラブルデバイスが、耳にかけるだけでいいというところまで軽量化されなければならないということを示唆している。
次に、「オーグマー」を通して見える世界が一人称的視点で示される。そのUIは既にiOSやAndroidのスタンダードとなったUIに限りなく近い。作中では三人称視点での「オーグマー」使用時の描写ももちろんなされているが、傍目には空中でフリック入力をしているように見える。「オーグマー」は「PSYCHO-PASS」の腕時計状のウェアラブルデバイスや、ドミネーター同様、指向性描画および音声によって機能するのだ。
ウェアラブルデバイスの簡素化は今作の舞台となる2026年を待たずして実現するであろうし、その頃にはUI/UXのよりベストな実装が考案されているはずである。
- 出版社/メーカー: バンダイ
- 発売日: 2015/01/17
- メディア: おもちゃ&ホビー
- この商品を含むブログ (12件) を見る
フルダイブ型VRとARの併用(ネタバレ度★★★★☆)
いきなりネタバレ度が上がるので注意してほしい。
今作では、あるシーンで「フルダイブ型VR」とARが同時に使用される。
SAOは元々「フルダイブ型」という、体は眠った状態で、脳だけでMMORPGを楽しむというより進んだVR体験を主題とした作品である。いわば、思想実験の「水槽の中の脳」だ。AR体験が主題となった今作においてそれらはほとんどコミュニケーションツールにとどまっている。
しかし、今作ではフルダイブ型VR空間をARで投射するシーンがある。
これは道理にかなったことである。オンラインゲーム「ソードアート・オンライン」の中において、プレイヤーは3Dのアバターデータである。データである以上、「ソードアート・オンライン」の中の出来事はARとして描画が可能なのだ。
映像作品的観点
スクリーンで「拡張現実」を体感させる(ネタバレ度★★★☆☆)
本作が挑戦したのは、スクリーンで「拡張現実」を実現することであったのではないだろうか。
例えば、一人称的に繰り返し突きつけられる、登場人物がウェアラブルARデバイスを装着した状態での視野や、(しばしばデバイスの中で再生されているように描かれがちな)スクリーンいっぱいのニュース画面によって狙ったのは、ウェアラブルARデバイスを装着して見る世界の追体験だ。
それだけではない。舞台となるのは秋葉原UDXや代々木公園など、実際に存在する施設だ。そして、ARMMORPG「オーディナル・スケール」を起動する際にはARオブジェクトが東京を上書きする様子が描かれる。さらに、執拗に執拗に描かれる実在製品のロゴ、ロゴ、ロゴ。これらは、まさに「現実の伸長」を体感させる仕掛けであったように思う。
これについては「シン・ゴジラ」にも通じるものがあるように思う。映像作品の「拡張現実」への挑戦については、いつか別のエントリで意見を述べたい。
ストーリー的観点(ネタバレ度★★★★★)
ここからは全力でネタバレをする。
白い蝶
今作では、あるキャラクターが登場する際、必ずといっていいほど蝶が飛んでいる。モンシロチョウだ。
これはそのキャラクターを象徴する存在であると同時に、強いメッセージ性を持っており、実際にそのキャラクターが口にするセリフと繋がっている。
栞紐
今作では、データ化が進んだ世界にもかかわらず、紙の本とノートが繰り返し登場し、それらには栞紐が付属している。
この栞紐は、今作の根幹そのもののメタファーだ。
まとめ
- ARの定着した世界を追体験できるアニメ映画
- 映像制作業界が「拡張現実」に挑んでいるのを感じる
- 画面内に大量のヒントとギミックがある
あ、音楽良かったです。梶浦サウンド強すぎて「まどマギwww」ってなります。サントラ買いました。
劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール- Original Soundtrack
- アーティスト: ソードアートオンライン
- 出版社/メーカー: Aniplex Inc.
- 発売日: 2017/02/18
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログを見る